ジンギスカンの場合、レシピと言っても焼いてタレや塩でたべるのが基本なので、主に他の食材との組み合わせがポイントとなります。
ジンギスカン肉の臭い
羊肉は独特の臭いがあるために苦手だという方も少なくありません。この臭いの元は羊が食べる草にあります。草に含まれる葉緑素クルルフィルがフィトールという物質に変化することによって独特の臭いを生み出すといわれています。
従って、豚・鶏・牛と違ったレシピがあります。
羊肉にはマトンとラムがありますがラムは生後12カ月以下なので大きく成長しておらず、肉質が非常にやわらかいという特徴があります。臭いの元となる草を食べる期間も短くマトンに比べると食べやすいと言えます。
レシピとしては、下処理の過程でこの臭いを除くことで食べやすくなります。マトンとラムでは若干レシピが異なりますが、ここでは主に食されるラムのレシピをご紹介します。
ドリップ
ジンギスカンの羊肉を含め、食肉をパックから取り出すと血液のような赤い液体が出てきます。これは「ドリップ」と呼ばれる肉の組織液というものです。
保存期間中に肉の組織が破壊され、水分とともに筋肉中の「ミオグロビン」というタンパク質が流れ出てしまいます。ミオグルビンは赤い色素が含まれるため赤く見えるのです。
このドリップには肉の旨味成分も含まれているため、一般的な肉のレシピはできるだけドリップを出ないようにするのが良いとされていますが、ジンギスカンの羊肉の場合は臭いも含まれるので、レシピとしては、出てきたドリップを取り除く事に注力したほうが良いと言えます。
旨味については、羊肉のレシピは加熱して焼くのに加え、タレなどの調味料につけるか、調味料に漬け込んで「味付き」で食べるので、肉の旨味よりもドリップを除くレシピによりクセがなく柔らかい食感でおいしく食べれます。
ドリップ処理
ジンギスカンの羊肉は業務用では冷凍かチルドのブロックですが、一般家庭用ではカットされたパックでスーパーなどで手にはいります。トレーの底には吸水シートが敷かれていて、ドリップで赤くなっているのがわかります。
それでは、ドリップ処理のレシピの一例をご紹介します。カットされた肉のトレイパックの場合、開封するとすぐに食べてしまいますが、ここで一つレシピを加えます。
皿に吸水シートを敷いて肉を一面に並べてその上に吸水シートを被せます。肉の量が多い場合は重ねてもかまいません。食べる直前までこの状態で冷蔵庫で保存するとかなり臭いは除かれ食べやすくなります。
次にチルドのブロックの状態のレシピです。開封し、吸水シートで肉を1ブロックずつ包んで冷蔵庫に一晩保存します。翌日にカットし吸水シートに並べます。そして、ドリップがなくなるまで吸水シートを交換してから提供されます。味付きの場合はさらに調味料に漬け込んで2日ほど寝かし提供します。このように、臭みを除くレシピが重点になっています。
ジンギスカンと一緒に焼く野菜
ジンギスカンのレシピとして、一緒に入れる野菜選びも気になるところです。一般的には、もやし・にんじん・たまねぎ・ピーマンが定番です。
北海道のレシピではこの他に、とうもろこし・かぼちゃ・キャベツ・行者にんにく・皮付きジャガイモなどが一緒に入れられます。
さらに、なす・アスパラ・ミニトマト・にんにくスライスなどを使ったレシピもあります。
ジンギスカンに合う食材
野菜以外にもジンギスカンに合う食材を紹介します。
いろいろな食材がレシピに加わりますが、一例をご紹介します。
・こんにゃく:適度な大きさに切って湯通ししておきます。焼くと肉汁を吸っておいしくなります。
・うどん:〆にうどんを入れて肉汁と野菜の旨味をたっぷり吸わせて食べます。
・ラーメン:茹でた麺を肉汁に絡ませても、鍋で焼いてもおいしく食べれます。
・生卵:容器に入れてジンギスカンのタレと混ぜて食べます。小ねぎを少量入れてもいいでしょう。
・山わさび:北海道名産の山わび特有の風味と辛みは、すりおろして肉にのせて食べると格別です。
・餅:1~2㎝の短冊切りでタレに絡ませていただきます。
・焼き豆腐・・・適度な大きさに切り肉汁やタレに絡ませていただきます。
・粗挽きソーセージ:肉汁で煮込んでも焼いてもおいしいです。
・しいたけ:すき焼きには定番ですが、ジンギスカンのレシピとしてもおいしいです。
その他、お好みの食材をレシピに加えていただいても、だいたいはタレと合うのでおいしく食べれます。
最高品種サフォーク種
サフォーク種は顔と四肢が黒い羊で肉用としては最高品種です。生産量が非常に少ない為、取引価格も他の羊肉と比べ段違いに高騰傾向にあります。羊肉としては臭みやクセはほとんどないのに加え、旨味が深く脂にも甘味があります。ほとんどがレストランで消費され、一般では北海道でも取り扱い専門店以外では食べることができない羊肉です。
2008年洞爺湖のサミットで振る舞われた羊肉が、北海道焼尻島のサフォーク種でほとんど出回らない為、幻のサフォークと言われました。また、サフォーク種と掛け合わせたサフォーククロスラムという品種もあります。
肉本来の旨味を生かすため、ジンギスカン的なレシピより塩コショーのみで食べても十分味わえる肉です。レストランでは和牛に近いレシピで提供されており、特にステーキが多いようです。
また、骨付きラック、モモ、バラ、ウデなどすべての部位が利用され、煮込みやグリルなど幅広いレシピで提供されています。スーパーなどではなかなか販売されませんが、ネットではいろいろな部位や味付きで販売されていますので機会があれば購入されてはいかがでしょうか。